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1991年11月17日

●子どもの権利条約ネットワークの呼びかけ

 子どもはおとなに育てられ、教えられ、導かれるだけの受け身の存在ではありません。自分なりの考えをもち、それを口に出し、また行動に移すことができる一個の人格であり、また子どもにはそうする権利があります。
 子どもは社会から切り離された存在でもありません。むしろ、おとなが築いてきた社会の影響をまともに受けるのが子どもです。それなのに、いままで子どもは“子どもだから”という理由で社会に対する発言権を認められてきませんでした。
 「子どもの権利条約」は12条に“意見表明権”をうたい、子どもにもさまざまなことがらについて自由に意見をいう権利があると定めました。その背景には、子どもたちが市民として積極的に社会に参加し、未来の担い手としてこの社会を変えていく力になってほしいとの願いがこめられています。
 そうした観点から、「子どもの権利条約」は子どもを“権利行使の主体”としてとらえ、表現の自由や結社・集会の自由などさまざまな市民的権利も保障しています。
 おとなは、子どもを指導や教育の対象としてのみとらえ、どうやればいまの社会にうまくあてはめることができるかということばかり考えていてはなりません。むしろ、この社会をともに担っていくパートナーとして子どもをとらえ、家庭・学校・地域・国などさまざまな場面で生じている問題の解決の道を探っていく必要があります。
 それとともに、貧困・飢餓・環境破壊といった「静かなる緊急事態」あるいは戦争・紛争などに直面したこの地球を守っていくために、おとなと子どもがともに考え、行動していかなければなりません。自分たちの利益ばかりを考え、あとの問題はだれかにまかせておけばよいという姿勢を問い直さなければならないのです。
 そのためには、子どもとおとながおなじ人間として言葉をかわし、理解を深めていかなければなりません。また、地球規模の問題を解決していくためには、国内外の子どもたちが、国籍・人種・性別といったさまざまな違いを超えて広く交流・連帯していく必要があります。
 子どもの権利条約ネットワークの目的のひとつは、そうした交流の場としての役割を果たしていくことであります。
 また、「子どもの権利条約」を社会に活かしていくために、その趣旨や内容を広くつたえ、「権利条約」に関する資料・文献などの情報をいつでもだれでも利用できるようにしておかなければなりません。子どもの権利条約ネットワークは、「権利条約」に関する資料情報センターとしての役割を担っていきたいと思います。
 このネットワークは、「子どもの権利条約」の実施と普及に関心をもつ一人ひとりの市民が、個人としての立場と考えにもとづいて支えていくものです。子どもをはじめとするみなさんの参加を呼びかけます。

1991年11月17日
子どもの権利条約ネットワーク